とあるオタクの舞台裏

漫画の感想や演劇のことを書きます

結婚するって本当ですか 4巻感想前半 (愛の告白って、本当ですか)

 ※このブログにはネタバレが多く含まれているため、原作未読の方は実際に読んだ後にまた見に来てください。ネタバレ後の方が楽しめるという方は特に止めないので普通に読んでいってください。

 

今回は一つ前の記事やブログのタイトルにも書いた通り、若木民喜先生が書いた「結婚するって、本当ですか」4巻......の前半の感想になります。なぜ前半なのかというと、1巻分で一つの記事を書くとなるとめっっっっちゃ長くなりそうだったからです。

これ以降は上にも書いたように既読者しか残っていないとは思いますが、もしかしたらまだ残っているかもしれない謎な未読者のためにこの漫画を説明すると、陰キャならぬ曇キャな二人が、自分たちの平穏な日々を守るために偽装結婚を行う、という話です。

以下1巻のあらすじ(amazon参照)

 

猫好きメガネ男子と地図マニアの無愛想女子



神のみぞ知るセカイ若木民喜待望の最新作、テーマは<結婚>!!!

「結婚しませんか? 私たちの一人の生活を守るために」 

首都圏の旅行代理店でツアーの企画を担当する会社員のタクヤとリカ。
共に人付き合いが苦手で目立たないが、人知れず充実した一人生活を送っている。

タクヤは保護した猫と、リカは地図さえ眺めていれば幸福な日々……

ところが日本からはるか離れた海外の支店開設により
<独身者が優先で海外派遣!!!>

国内でさえ人付き合いが苦手なのに海外に何年も行きっぱなし…?
こまったリカはタクヤにとある計画を持ちかけて……

ほとんどしゃべったこともない二人が、たったの365日後に結婚することに!? 

猫好きメガネ男子と地図マニアの無愛想女子の、
令和の結婚コメディー、第1集!」

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ここにも書かれている通り、若木民喜先生は「神のみぞ知るセカイ」という漫画の作者でもあります。この作品は僕の人生を変えた作品と言っても過言はない作品なので、めっちゃ感想とか書きたいんですけど、今回の記事の内容とはだいぶ逸れてしまうのでまた別の記事で。

 

という訳で、4巻(前半)の感想に入っていきたいと思います。

 4巻前半部分のタイトルは「愛の告白って、本当ですか」です。今回の話はマッチングアプリ絡みの話でしたね。最近はマッチングアプリSNSで出会った人と付き合ったり結婚しただなんて話を聞くようになってきましたが、僕の周りではほとんど聞かないので本当にやってる人いるのかなぁという感じです。まあそもそも結婚してる人がほとんどいないんですけどね。大学生なので。

今回の話の主役は権田です。拓也の(偽装)結婚をきっかけに拓也のことを師匠と呼ぶようになった権田ですが、今回はその権田がマッチングアプリで出会った人と会いたいけど、自信が無いので拓也に一緒に着いてきて欲しいと頼むところから始まります(本当はそれより前にちょっと色々あるけど割愛。とりあえず本成寺さんめっちゃ可愛い)。僕はインターネットで出会った人と全く会ったことが無いんですけど、権田はすごいですね。自分の強みを頑張って生かそうと努力したりしていて。方向性が合っているかはともかく、すごいなって思います。

まあ、今回の権田は結婚のためとかではなく、アイドルのオフ会のために会おうとしてるんですけどね。とまあ色々あって変なねーちゃん「カオリ―」と会うことになります。なんかこのシーン観てると実際に共通の趣味を持った人と会ってみたくなりますよね。男とか女とか関係なく。でもオフ会みたいなのって怖いんですよねー、なんとなく。このままの感性だと時代に置いていかれそうでこえー。

そんなこんなで仲良くなった権田(ゴンちゃん)とカオリ―ですが、なんと、権田は会って数日で結婚を前提に付き合ってほしいと告白することを決めます。俺は拓也と同じで、早すぎじゃね?と思うのですが、実際どうなんでしょうかね。権田みたいにマッチングアプリを使っている人はそんなに早く付き合ったりしてしまうのでしょうか。まさか権田でも遅い方で、会ったその日に付き合ってしまう人なんかもいるんですかね?そんな話はさておき、そんな話を権田から聞いた拓也は権田に、なんでそんなに結婚したいんだ、と尋ねます。権田は1巻のころから恋愛話に興味津々でしたからね。僕は単にこれまで恋愛経験がなかったから女に飢えてるのかなと思っていたのですが、どうやらそうじゃないらしく(まあそれも理由としてありそうだけど)。

なら何故権田がそんなに結婚したがっているのかというと、昔の権田家にその理由がああるとのことで。権田家はその昔貧乏で、親同士の中も悪かったため、好きな人と結婚し、子どもを育てるような「ちゃんとした家庭」というものに憧れを抱いていたからでした。今の時代ではあまり語られなくなったような「ちゃんとした家庭」ですが、僕はこういう権田のような憧れを持った人は割と多くいるんじゃないかなと思います。最近はそのような「ちゃんとした家庭」のことを話すと、やれジェンダーやらなんやらという話が出てきてしまい、昔ながらの普通を語ることが若干敬遠されてしまっているような気がします。僕もまあまあ権田と同意見で、昔ながらのちゃんとした家庭というのに若干の憧れがあります。結婚とか出来そうかは置いておいてね。でも、このようなちゃんとした家庭を持つのに憧れるというのは、むしろ自分の家族自体がちゃんとした家庭だったからって人が多いと思ってました。そういう意味でも権田はすごい人ですね。

そして拓也に自分の結婚願望の理由を話した後、権田は実際にカオリ―を呼び出し、結婚を前提に告白します。ですが告白をされた後のカオリ―は返事をせず、なんとも言い難い表情を取った後、権田にある場所に一緒に来るように求めます。その場所はなんと保育園でした。カオリ―はシングルマザーだったのです。カオリ―は自分が子どもを抱いている姿を見せた後、権田にこう問いかけます。「ゴンちゃん、まだ本気?私、シングルマザーだけど。」。それを聞いた権田は----何も言葉を返すことが出来ませんでした。これはとても残酷ですね......。前までのシーンで権田が理想の家族を語った後のこれですからね。確かに子持ちという部分に権田が衝撃を受けたことは間違いないと思いますが、権田が返答できなかった理由としては、自分が子どもの頃の記憶があったっていうのが大きいでしょうね......。子どものとき家族について嫌な思いをしたからいい家庭を作りたいというのが権田の理想だったのに、もし目の前にいる人と結婚をしたら、その子どもにお金の問題などから昔の自分と同じような嫌な思いをさせてしまうかもしれないってなったら誰だって何も言えなくなってしまうと思います。

カオリ―のシングルマザー発言に対して何も返答出来なかった権田は、カオリ―ともう一度話をしたいと考えます。拓也との会話の中で子どもがいても関係ないとは言っていますが、銀行に行って通帳を確かめている様子はどう見ても色々気にしています。そりゃそうですよね。子どもを養うことの大変さ、お金が無いことの辛さは自分がよくわかっているでしょうから。それでも権田はそこで止まろうとせず、しっかりとカオリーと話すことを決め、カオリ―をファミレスに呼び出します。でも、そこに来たのはカオリ―ではなく、カオリ―の友人であるイチカでした。イチカの話の感じからするとカオリ―とはシングルマザー仲間なのかもしれませんね。イチカは権田にカオリ―からの「大丈夫だから」という伝言とお礼を伝えます。またイチカは子どもを人に会わせるのは相当な覚悟が必要だと話します。別に自分がシングルマザーだってことは子ども自身を見せなくても成立しますからね。そういう意味での覚悟だったんだと思います。

その後、権田は再び拓也と会い、自分の気持ちを吐露します。結婚は口だけで覚悟がなかったと、信頼してくれたのに怯んでしまって後悔していると。権田は自分の行動について色々後悔していますが、今回のことはさすがにしょうがないですよね。ここまでのことを想像できる人はいないでしょうし、むしろ通帳を確かめたり、もう一度話をしようとしたり頑張っていた方だと思います。でも、たぶんカオリ―がして欲しかったのはそういうことではないんでしょうね。自分の子どもを見せても、「大丈夫だよ」と一言言って欲しかったのだと思います。でも権田はそのたった一言を口に出すことが出来ませんでした。その言葉の責任を負う勇気はありませんでした。権田はカオリーのことを傷つけてしまい自分は最低だと言っていますが、その後に拓也が言っている様に、色々考えての行動や、相手のことを本気で考えている姿を見ると、彼のことを最低だなんて思えませんよね。ただ、あの瞬間に、カオリ―がシングルマザーであると聞いたあの瞬間に一歩を踏み出す勇気が足りなかっただけなんだと思います。

これまでの権田の話を聞いて拓也は考えます。本当に俺は本成寺さんのことをこれほどまでに本気で考えているのだろうかと。3巻の進士さんの話にもありましたが、誰かと結婚するっていうのは楽しいことだけじゃありません。ジョージさんが言っていたように100%理想の夫婦だと片方が考えていたとしても、もう片方の人にとっては一生背負っていかなくてはならない重荷となってしまっているかもしれません。結婚とは二人が背負っている良いことも悪いことも一緒に背負うことなのでしょうね。3巻最後に勢いで告白してしまった拓也ですが、俺は本気で本成寺さんのことを背負う覚悟あるのかと、また自分のことを相手に背負わせる覚悟はあるのかと、自分に問いながら今回の「愛の告白って、本当ですか」編が終わります。

 

という訳で、今回の話は進士さんの話に続いて「結婚」について深く考える話でしたね。僕自身も本成寺さんや拓也と同じように結婚なんてまだ全然わかりませんが、やっぱり二人が初め考えていた、社内でさらっと流されてしまうような軽い物ではないんでしょうね。後、なんか本成寺さん、拓也以外にスポットライトが当たる回って全体的にテーマが重めになってますよね。クラウディアの回では同性婚、進士さんの回では離婚、権田の回では子どものことでしたけど、これからも脇役にスポットライトが当たる場合はちょっと難しいテーマになるんですかね。結婚における問題って他にどんなことがあったかなー。僕には死別とかそれくらいしか浮かびませんが、どんな内容の話が来るのか楽しみです。

今回の記事は以上です。ここまで読んでくれた方がいるならありがとうございます。てか今思ったんですけど、この感想記事って実際の本の内容を時系列順に書いて軽くコメント付けただけみたいな感じになっちゃってるんですよね。どうすればいいかなーこれ。まあ次からまた考えてみます。